■花酵母の分離者
■プロフィール
 中田 久保 昭和23年2月11日生まれ
 東京農業大学短期大学部 教授

勤務先:
 東京農業大学短期大学部醸造学科
 〒156-8502
 東京都世田谷区桜丘1-1-1
 現在の清酒醸造は、清酒もろみから分離された菌株あるいはそれらの菌株を用い人為的に変異、造成した清酒酵母が利用されています。
 東京農業大学短期大学部醸造学科酒類学研究室では、これらの酵母と比較し、さらに個性豊かで特徴ある菌株を分離する目的で自然界から清酒酵母の分離を行ったところ、花から香味豊かで特徴ある菌株が分離できました。
 長年、野生清酒酵母を分離し性質を追及してきましたが、野性清酒酵母は添加優良酵母を汚染し、製品の香味を害する悪玉タイプが多かったのですが、花酵母は花からの贈り物にふさわしい菌株です。
 この花からの贈り物を皆様にお届けしようと研究室卒業生の酒造蔵が中心になり、製品化致しました。
 酒造万流、嗜好も千差万別。今後も花酵母研究会会員蔵元の努力に期待したいところです。
■花酵母とは
 清酒醸造は、開放発酵にもかかわらず自然に他の醸造酵母と異なった性質を持つ、いわゆる清酒酵母群のみによって占有される。
 本要因について検討を行った所、清酒もろみの独特の環境即ち、乳酸による低pH防腐、高度に精白した米を使用する為の低カリウム濃度、固形物が存在し、その固形物の溶解、液化と言った物理的な環境が大きいものとの結論を得た。そこで、これらの清酒酵母はどこから来たのか検討を行った所、空気中のほこりに由来(土壌中)するものと判明した。さらに、これらの清酒酵母群が自然界で最も集積される環境は、糖質源の有る場所、果実、花と考えた。但し、果実では、ワイン酵母が集積されると判断し、花に着目した。
 前述した清酒もろみの環境に近づけた合成培地を作成し、花を採取し、本培地に加えて集積培養した後、清酒酵母を分離した所、T.T.C.還元能Redを示し、高い香気特性を有し、発酵能も優れた特徴ある清酒酵母が分離された。
 長年、野生清酒酵母を分離し、性質を追及して来たが野性清酒酵母は、添加優良酵母を汚染し、製品の香味を害するT.T.C.還元能Pinkのいわゆる悪玉タイプしか存在せず花から分離した酵母は、まさに花からの贈り物にふさわしい酵母である。